クレアチン
Creatine
クレアチン一水和物(Creatine Monohydrate)
スポーツ栄養研究で扱われることが多い成分。抵抗運動と併用した研究が比較的多い一方、対象者・運動条件・腎機能を分けて読む必要がある。
- 主に研究されている領域
- 筋力・筋肥大、筋疲労回復
- 比較的根拠を確認しやすい領域
- 筋力・筋肥大 根拠 A 筋疲労回復 根拠 B
- まだ判断が難しい領域
- 長期安全性・対象集団・製品形態の差
- 特に注意が必要な人
- 腎機能
- 上限量・過剰摂取
- 25 g/日(ローディング期)/ 3〜5g/日(維持期) ISSN Position Stand 2017(研究で多く扱われる維持量は3〜5g/日)
- 相互作用
- 2件(要注意 0件)
- 主要参考資料
- 6件
効果領域別の評価
| グレード | 効果領域 | 文献数 |
|---|---|---|
| A | 筋力・筋肥大 抵抗運動を伴う介入で、最大筋力や除脂肪体重を扱うメタアナリシスが複数あります。成人・運動条件が中心で、トレーニングなしの筋肥大や個人差まで説明できる根拠ではありません。 | 18 refs |
| B | 筋疲労回復 筋損傷マーカーやDOMSを扱うメタアナリシスはあるが、競技成績や主観的回復への効果は条件依存。筋力向上ほど一貫した強さではない。 | 9 refs |
体内動態・基本情報
小腸から能動輸送で吸収され、血中ピーク濃度は摂取後1〜2時間。骨格筋に約95%が蓄積され、クレアチンリン酸(PCr)として高強度運動のATP再合成に使用される。体内合成(肝臓・腎臓・膵臓)が1〜2g/日行われるため、3〜5g/日の補充で筋内貯蔵量が飽和状態に近づく。代謝産物はクレアチニンとして腎臓から排泄される。
摂取量の目安
個人差があり、上記はあくまで参考値です。医師・薬剤師にご相談ください。
解説
研究で扱われた条件、読み取れる範囲、注意点を補足する本文です。摂取推奨ではなく、必要に応じて 摂取量の目安・注意点・参考文献 と合わせて確認してください。
まず分けて読むこと
クレアチンは、アミノ酸から体内でも合成される成分で、骨格筋の高強度運動時のエネルギー再合成に関わります。サプリメントとして読むときは、筋力トレーニングを伴う研究、単回の運動課題、回復指標、安全性レビューを分ける必要があります。
根拠が比較的厚いのは、抵抗運動と併用した筋力・除脂肪体重に関する研究です。クレアチン単独で筋肉が増えると読むのではなく、トレーニング刺激、食事、継続期間、対象者の経験を合わせて解釈します。
研究で扱われる対象集団
筋力領域のメタアナリシスでは、健康な成人、運動習慣のある人、抵抗運動プログラムを行う人が中心です。高齢者、女性、競技者、ベジタリアンなどでも研究はありますが、同じ効果量をすべての人に当てはめることはできません。
回復領域では、筋損傷マーカー、DOMS、主観的回復、競技成績などアウトカムがばらつきます。筋力領域ほど一貫した読み方はしにくいため、筋肉痛が出る人に広く使う根拠としては慎重に扱います。
用量と形態の考え方
維持量としては3〜5g/日が研究でよく扱われます。ローディングは筋内貯蔵量を早く高めるための研究条件として使われますが、胃腸症状や体水分の増加が出やすく、すべての人に必要な手順ではありません。
形態では、クレアチン一水和物が標準的な比較対象です。緩衝型、塩酸塩、複合型などは製品として存在しますが、一水和物より臨床的に優れると判断できる根拠は限られます。価格や宣伝文句より、元素ではなく成分量、1日量、継続しやすさ、胃腸症状を確認します。
注意が必要な人
腎疾患がある人、腎機能に影響しうる薬を使っている人、未成年、妊娠中・授乳中の人では、一般的なスポーツ栄養の話として扱わず医療者に確認してください。クレアチン摂取で血清クレアチニンが変わることがあるため、検査値を読む場面でもサプリ使用を医療者に伝える方が安全です。
SuppLabでは、クレアチンを筋力・筋肥大の効果領域や評価方法と合わせて読み、摂取判断を急がせる比較やランキングとしては扱いません。
注意点・相互作用
相互作用
高用量カフェイン(5mg/kg体重以上)との同時摂取がクレアチンのパフォーマンス指標に影響する可能性を示した古いデータがあるが、研究結果は一貫していない。
クレアチンはクレアチニンとして腎臓から排泄されるため、腎機能に問題がある場合や腎機能に影響しうる薬剤を使う場合は医療者に確認したい。
注意事項
- 腎臓に既往疾患がある場合は医療者に確認してください(腎疾患を持つ人でのデータは限られる)
- ローディング期(20〜25g/日×5〜7日)は胃腸不快感や体重増加(体水分保持)が起こりやすい
- 筋肉への水分保持により体重が0.5〜2kg増加することがある(水分・筋グリコーゲン増加によるもの)
- 18歳未満への使用については長期安全性データが不十分
よくある誤解
クレアチンについて「クレアチンはステロイドと同じ」と言えるか?
クレアチンはアミノ酸誘導体であり、ステロイドホルモンとは異なる化合物。体内でも合成され、スポーツ栄養分野では禁止物質とは別のものとして扱われている。
クレアチンについて「クレアチンは腎臓を傷める」と言えるか?
健常者を対象とした長期試験では腎機能への明確な悪影響は示されていない。クレアチン摂取でクレアチニン値が上昇することがあるが、単独では腎機能低下を示すとは限らない。
クレアチンについて「高価な形態のクレアチンほど効果が高い」と言えるか?
クレアチン一水和物は研究蓄積が多い標準形態です。他の形態が一水和物より明確に優れると判断できる比較試験は限られています。
参考文献
- メタアナリシス
Creatine Supplementation and Lower Limb Strength Performance: A Systematic Review and Meta-Analyses
PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25946994/ - システマティックレビュー
Effects of creatine supplementation and resistance training on muscle strength and weightlifting performance
PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14636102/ - メタアナリシス
The Effect of Creatine Supplementation on Markers of Exercise-Induced Muscle Damage: A Systematic Review and Meta-Analysis of Human Intervention Trials
PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33631721/ - メタアナリシス
Creatine supplementation effect on recovery following exercise-induced muscle damage: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34472118/ - システマティックレビュー
International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation in exercise, sport, and medicine
PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28615996/ - システマティックレビュー
In sickness and in health: the widespread application of creatine supplementation
PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22101980/