イチョウ葉エキス
Ginkgo Biloba
Ginkgo biloba leaf extract / EGb 761
認知機能や認知症発症リスクで研究されてきた植物由来エキス。大規模RCTでは発症率を下げる結果は示されず、出血リスクと服薬中の注意を先に確認します。
認知機能・集中力
抗凝固薬・抗血小板薬、手術・歯科処置の予定、てんかん・けいれんの既往、抗てんかん薬
医療判断の代替ではありません
このサプリの読み方
冒頭では研究されている領域を明確に示し、本文では対象者・用量・期間・限界を慎重に確認します。 摂取推奨や個別判断ではありません。
最終更新日
認知機能や認知症発症リスクで研究されてきた植物由来エキス。大規模RCTでは発症率を下げる結果は示されず、出血リスクと服薬中の注意を先に確認します。
- 比較的根拠がある領域
- 認知機能・集中力 グレード D
- まだ判断が難しい領域
- 認知機能・集中力 グレード D
- 特に注意が必要な人
- 抗凝固薬・抗血小板薬、手術・歯科処置の予定、てんかん・けいれんの既往、抗てんかん薬、複数の医薬品・ハーブ製品 持病・服薬中・妊娠中/授乳中・未成年は、注意点と相互作用を先に確認してください。
- 上限量・過剰摂取
- 未設定 NCCIH Ginkgo Fact Sheet
- 相互作用
- 4件(要注意 2件)
- 主要参考資料
- 5件
分かっていること
認知機能・集中力などで研究はありますが、結果の一貫性や対象条件に限界があります。
まだ不明なこと
認知機能・集中力は、研究条件や結果のばらつきを分けて読む必要があります。
効果領域別の評価
| グレード | 効果領域 | 文献数 |
|---|---|---|
| D | 認知機能・集中力 高齢者を対象にした大規模RCTでは認知症発症率や認知低下に明確な差は示されていません。認知症症状の研究はありますが、医療判断の代替にはなりません。 | 4 refs |
体内動態・基本情報
研究で扱われる標準化エキスは、フラボノイド配糖体とテルペンラクトンを含む植物抽出物です。製品間で規格や不純物が異なるため、標準化エキスの臨床試験結果を、すべてのイチョウ製品にそのまま広げない方が安全です。
摂取量の目安
個人差があり、上記はあくまで参考値です。医師・薬剤師にご相談ください。
解説
研究で扱われた条件、読み取れる範囲、注意点を補足する本文です。摂取推奨ではなく、必要に応じて 摂取量の目安・注意点・参考文献 と合わせて確認してください。
まず確認したいこと
イチョウ葉エキスは、認知症予防、認知機能、めまい、耳鳴り、末梢循環などの文脈で扱われてきた植物由来エキスです。ただし、サプリメントとして読むときは、標準化エキスを使った臨床試験、粗製品や種子のリスク、服薬中の相互作用を分ける必要があります。
SuppLabでは、イチョウ葉エキスを「脳によいハーブ」として勧めるのではなく、認知症発症リスクを扱った大規模RCTと、認知症症状を対象にした比較的小さな試験群を分けて整理します。
認知症発症リスクを扱う研究
GEM試験では、正常認知または軽度認知障害のある75歳以上の高齢者3,069人が、イチョウ葉エキス120 mgを1日2回またはプラセボに割り付けられ、中央値6.1年追跡されました。この研究では、全認知症やアルツハイマー病の発症率を下げる結果は示されませんでした。
同じ研究群による認知機能の解析でも、記憶、注意、実行機能などの低下速度に明確な差は読み取れませんでした。そのため、健康な高齢者や軽度認知障害の人が、発症リスクを下げる目的で自己判断で使う根拠としては弱いと扱います。
認知症症状を対象にした研究の読み方
認知症や認知機能障害の症状を対象にしたメタ分析では、EGb 761などの標準化エキスで一部の尺度に差が報告されています。ただし、対象はすでに診断を受けた人を含む研究であり、健康な人の集中力向上や認知症予防にそのまま広げることはできません。
認知症や軽度認知障害が疑われる場合は、原因確認、薬剤、睡眠、うつ、不安、聴力、甲状腺機能など多くの要因が関わります。サプリだけで判断せず、症状が続く場合は医療機関で相談する方が安全です。
注意点と製品差
NCCIHは、イチョウが認知症の発症リスク低下や進行抑制に有用とは示されていない一方で、抗凝固薬などとの併用では出血リスクに注意が必要だと説明しています。手術や歯科処置の予定がある場合も、使用中のサプリ・ハーブ製品を医療者へ伝える必要があります。
研究で使われる標準化エキスと、生の種子、粗製品、規格が不明な製品は同じではありません。特に種子や粗製品には毒性や品質差の問題があり、臨床試験で扱われた条件と市販製品の条件を混同しないことが大切です。
関連ページ
- 認知機能・集中では、サプリごとの根拠の強さと限界を比較できます。
- ハーブ・植物カテゴリでは、公開品質を満たした植物由来サプリだけを一覧化します。
- 評価方法では、A〜Eグレードが摂取推奨ではないことを説明しています。
このページは一般的な情報提供です。診断、治療、予防、個別の摂取判断を目的とするものではありません。
注意点・相互作用
相互作用
NCCIHは、ワルファリンなどの抗凝固薬を使っている人では出血リスクに注意が必要だと説明しています。該当する薬を使う場合は医療者に確認してください。
出血リスクが問題になる場面では、サプリやハーブ製品の使用状況を事前に医療者へ共有してください。
イチョウの種子や粗製品には神経毒性が問題になる成分が含まれる場合があります。既往がある人は標準化エキスであっても慎重に扱います。
NCCIHは、イチョウが他の薬とも相互作用する可能性に触れています。服薬中は製品ラベルだけで判断しないでください。
注意事項
- 記憶の低下、急な認知機能変化、日常生活への支障がある場合は、サプリで様子を見る前に医療機関で原因を確認してください
- 抗凝固薬・抗血小板薬を使っている人、出血しやすい人、手術予定がある人は自己判断で使わないでください
- 妊娠中は早産や出血に関する懸念があり、授乳中の安全性情報も十分ではありません
- 生の種子や粗製品は標準化エキスとは別物で、毒性や品質差の問題があります
よくある誤解
イチョウ葉エキスについて「イチョウ葉エキスで認知症の発症リスクを下げられる」と考えてよいか
GEM試験などの大規模RCTでは、正常認知または軽度認知障害の高齢者で認知症発症を減らす結果は示されませんでした。
イチョウ葉エキスについて「脳によいハーブなので健康な人の集中力にも広く使える」と考えてよいか
NCCIHは、健康な人の認知パフォーマンスに影響するかは不確かで、研究の質にも限界があると整理しています。
イチョウ葉エキスについて「天然由来なので薬との併用を気にしなくてよい」と考えてよいか
抗凝固薬・抗血小板薬などでは出血リスクが問題になる可能性があります。天然由来かどうかではなく、併用薬と手術予定を確認します。
参考文献
- ランダム化比較試験
Ginkgo biloba for prevention of dementia: a randomized controlled trial.
PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19017911/ - ランダム化比較試験
Ginkgo biloba for preventing cognitive decline in older adults: a randomized trial.
PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20040554/ - メタアナリシス
Efficacy and adverse effects of ginkgo biloba for cognitive impairment and dementia: a systematic review and meta-analysis.
PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25114079/ - メタアナリシス
Efficacy and tolerability of Ginkgo biloba extract EGb 761® in dementia: a systematic review and meta-analysis of randomized placebo-controlled trials.
PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25506211/